取材と文/小林賢恵  
  撮影/西崎博哉  
     
武田山のふもとに広がる祇園の町
  広島市安佐南区。安芸の国の守護であった、武田氏ゆかりの武田山を望む雄大な風景が広がり。そのふもとにアクアコンディショナーの故郷である祇園の町があります。

豊かな自然に囲まれ、歴史ある神社や仏閣、武田氏の面影を偲ぶ史跡などが点在。武田山はゆるやかな登山コースがあり、市民にとって憩いの場ともなっています。

落ち着いた佇まいの中、ゆっくりとした時間が流れていく祇園の町。そんな環境の中で、アクアコンディショナーの研究開発から、生産までが行われ、全国へと旅立っていくのです。
 
遠くに見えるのが武田山。祇園の町は豊かな自然に囲まれた歴史のある町であり、その環境に魅かれて、最近は住宅も増えて都市化も進んでいます。
 
       
アクアコンディショナーができるまで
  アクアコンディショナーの原料はコンニャクイモ。広島県は、戦前こんにゃくの生産が日本一だったこともあり、こんにゃくの精粉(せいこ)であるグルコマンナンに関する化学、ゲルの物性、食品加工、食物繊維としての生理活性などといった研究が盛んに行われ、公的な試験機関や県立大学などでも勢力的に研究に取り組み、この分野をリードしてきたという背景があります。

アクアコンディショナーのベースになるのは、ナチュラブの母体でもある、西川ゴム工業株式会社の高度な発泡化技術。その技術は化粧品用のパフなどにも応用されています。

こんにゃくを使って体や顔を洗うという風習は、古来より伝えられていたものですが、そこに最新の技術、グルコマンナンの研究や皮膚の研究をプラスすることで、肌にも環境にもやさしい、アクアコンディショナーが誕生したのです。

「昔から、こんにゃくスポンジというものもあったのですが、硬いものが多かったので、なんとかやわらかいものができないかということが、大きな課題になりました」と、開発にあたった山本博一さん。このやわらかさが、赤ちゃんや敏感肌にもやさしく使える秘密。

「自然の素材感を大事にしながらも、肌へのやさしさを追求するために、不純物を取り除き、清潔感を感じさせる色みを出す点も工夫しました」と山本雅智さん。

小さなアクアコンディショナーですが、そこには多くの工程があり、多くのひとの手と最新の技術、研究がぎゅっと詰まっているのです。

また、開発の工程ではいろいろな苦労もあったそうですが、「肌の調子がよくなったみたい」「気持ちよく使える」といった、購入者からの声を聞けば吹き飛んでしまったとか。

アトピー気味だった姪っ子の赤ちゃんも、アクアコンディショナーの愛用者。おふたりの山本さんともに、自然の素材で肌にやさしく、環境を考慮した、このアクアコンディショナーの開発に携わったことに、大きな誇りを感じていらっしゃいました。
 
アクアコンディショナーの生みの親。開発を担当した山本雅智(左)さんと、山本博一さん(右)。なんと、おふたりとも山本さん! ちなみに親戚関係ではないそうです。今回は、製造を担当されている雅智さんに工場を案内していただき、博一さんからも、開発当時のお話をいろいろとうかがいました。
拡大してねと書いてあるのですが、すみませんが拡大できません
 
       
肌と環境へのやさしいものづくりが、人々の幸せにつながる
  アクアコンディショナーの技術開発において、指揮をとったのは、工学博士である橋本邦彦さん。アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギーの問題や乾燥、敏感肌で悩むひとが多いという、現代の肌をとりまく問題も、開発の上で重要なポイントとなったそうです。

「気になるのはこすりすぎ。日本人は清潔好きということもあって、洗顔や体を洗うとき、ゴシゴシとこすりすぎています。このとき肌に必要な角質や皮脂までも取り除いてしまい、肌のバリア機能を低下させてしまうのです。そこで、アクアコンディショナーは、こすりすぎないために、やわらかさにこだわったのです」と橋本さん。

弾力性があり、手のひらよりもやわらかなアクアコンディショナー。そこには、開発者たちのやさしさが込められています。

「アクアコンディショナーは、純度の高いグルコマンナンを使用し、肌への安全を考慮した、赤ちゃんの肌にもやさしいスポンジです。また、生分解性に優れた自然素材ですから、地球にもやさしいと言えます」と橋本さん。

皮膚科医との臨床実験を行い、これからも「肌へのやさしさや安全性を追求していく」という橋本さんは、新しいスキンケアアイテムの開発も手がけており、その目はときには厳しく、そしてやさしく、人と地球を見つめています。
 
お話をうかがった、技術開発部の橋本邦彦さん。気さくな人柄で、社内では「マンナン博士」とも呼ばれているとか。
昔から伝わる日本の知恵、自然の恵み、手のひらで包みこむようなやわらかさなどが、肌へ「やさしさ」として伝わっていきます。心地よくお手入れすることで、肌本来の持つ健やかさ、美しさを守ることができます。